雲林県

雲林県は台湾中部に位置し、西は台湾海峡に面し、東は南投県と斗六丘陵を隔てて接しています。南側の境界は北港渓・石亀渓で嘉義県と隣接し、北側は濁水渓を挟んで彰化県と接しています。また、外傘頂洲を有しています。県庁所在地であり最大の都市は斗六市ですが、行政区画の変更により、台湾で唯一県名と同じ名前の「市」を持たない県となっています。県内には1市、5鎮、14郷があり、合計20の行政区があります。

地理と自然環境

雲林県の大部分は嘉南平原に位置し、地形は平坦で温暖な気候のため、農業に適しています。東側の南投県との境界付近は標高が高く、阿里山山脈の一部に属します。南北には濁水渓沖積平原と嘉南平原が広がり、広大な農業地帯を形成しています。

気候については、副熱帯モンスーン気候に属し、年間平均気温は約22.6℃、年間降水量は1,028.9mmと比較的乾燥しており、特に秋冬の降水量は少なくなります。

経済と産業

雲林県は農業・漁業・製糖業が主要産業であり、「台湾の農業首都」と称されています。特産品には、文旦(ブンタン)、オレンジ(柳丁)、マンダリンオレンジ(茂谷柑)、雲頂茶、酸菜(発酵野菜)、スイカ、パパイヤ、メロン、スターフルーツ(軟枝楊桃)、濁水渓米、醤油などがあります。山間部の古坑郷はコーヒーの産地として有名で、独自の「古坑コーヒー」産業が発展し、台湾のコーヒー文化を代表する地域となっています。

雲林県は農業が中心ですが、県内には台湾最大規模の石油化学工業区である「第六軽油分解工場」があり、年間生産額は約2兆台湾ドルに達し、台湾のGDPの約10%を占める重要な経済拠点となっています。しかし、長年にわたる「北部優遇・南部軽視」の政策の影響を受け、他の西部の県市に比べて工業発展の規模は小さく、主に穀倉地帯と石油化学産業のイメージが強い地域です。

雲林県は農業を中心に発展し、豊富な農産物や漁業資源を有するとともに、石油化学産業も展開しています。広大な田園地帯、果物や米の産地である嘉南平原、そして古坑コーヒーの独特な風味など、雲林県は台湾の農業と地方文化の多様性を象徴する地域です。

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