鑁阿寺
Toshihiro Matsui, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

鑁阿寺(ばんなじ)は、栃木県足利市家富町に所在する真言宗大日派の本山寺院です。もともとは足利氏の邸宅跡であり、「足利氏宅跡(鑁阿寺)」の名称で国の史跡に指定されており、本堂は国宝に指定されています。また、日本百名城の一つにも選ばれています。

正式名称は「金剛山 仁王院 法華坊 鑁阿寺」で、足利氏の氏寺として創建され、大日如来を本尊としています。中世における足利氏の館に由来し、現在でも四方に門を配し、土塁と堀で囲まれた武家住宅の遺構が残っており、鎌倉時代前後の武士の館の様子をよく伝えています。

また、鑁阿寺は節分の時期に行われる「鎧年越(よろいとしこし)」という伝統行事でも知られています。これは鎌倉時代、足利泰氏がこの地に500名の武者を集めたことに由来すると伝えられており、1915年(大正4年)に地元の繊維業者らによって武者行列として復元され、現在も続く重要な民俗行事となっています。

本堂入母屋造、本瓦葺で、正面・側面ともに五間(柱間を示す単位)あり、正安元年(1299年)に建立されました。応永14年から永享4年(1407年~1432年)にかけて大規模な改修が行われ、柱がすべて取り替えられ、向拝(拝殿部分)も追加されました。

平面構成は、前方二間が外陣、後方三間が内陣および脇陣という密教仏堂の形式を取っており、建築様式は主に禅宗様(ぜんしゅうよう)で、詰組(つめぐみ)斗栱粽柱(ちまきばしら)桟唐戸(さんからど)、竪板壁(たていたかべ)などを特徴としています。また、組入天井(格天井)板敷の床など、和様の要素も取り入れられています。

この本堂は、密教寺院における禅宗様仏堂の初期例であり、関東における禅宗様建築の貴重な初期実例として、建築史上非常に重要な存在であることから、2013年に国宝に指定されました。

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