澎湖県

澎湖県は、古くは「平湖(へいこ)」または「彭湖(ほうこ)」と呼ばれ、台湾南部の台湾海峡に位置し、澎湖諸島から成り立っています。台湾本島の雲林県や嘉義県とは澎湖水道を挟んで向かい合っています。県庁所在地であり、最大の都市は馬公市(まこうし)で、台湾の離島の中で最も規模の大きい都市でもあります。澎湖県は1市5郷の計6つの行政区域から構成されています。

澎湖は、島全体に広がるハマグルマ(天人菊)の花にちなんで「菊の島」とも呼ばれています。特有の地理的条件と優れた港湾環境により、古くから台湾海峡の重要な移民中継地であり、軍事的要衝でもありました。

地理と自然環境

澎湖諸島は、台湾とユーラシア大陸の間に位置する台湾海峡にあり、地形は緩やかで低い丘陵地が広がっています。県内で最も標高が高いのは望安郷(ぼうあんきょう)の大猫嶼(だいびょうしょ)で、その標高はわずか70メートルです。また、澎湖本島で最も高い拱北山(こうほくざん)でも標高は56メートルしかありません。有名な地形景観として、馬公市の蛇頭山(じゃとうざん)、西嶼郷(せいしょきょう)の牛心山(ぎゅうしんざん)、白沙郷(はくさきょう)の西崁山(せいかんざん)、望安郷の天台山(てんだいざん)、七美郷(しちびきょう)の頂隙(ちょうげき)などが挙げられます。

澎湖には高い山がなく、湿気を遮る地形もないため、降水量は台湾本島に比べて非常に少なく、農業に大きな影響を及ぼしています。そのため、澎湖の主要産業は漁業と観光業となっています。

経済と産業

澎湖の経済は、かつては漁業が中心でしたが、漁業資源の枯渇が進んでいるため(県内には69の漁港があるものの、海域資源は限られています)、近年では観光産業への転換が進められています。澎湖の独特な海洋生態系、玄武岩の地形、伝統的な集落文化などにより、台湾の離島観光地として非常に人気があり、毎年多くの観光客が訪れています。

澎湖県は、独特の海洋地理環境、長い歴史と文化、そして壮大な自然景観を有しています。青の洞窟(ブルーホール)、双心石滬(そうしんせきこ)、玄武岩の柱状節理、白砂のビーチ、さらには馬公の古城や天后宮(てんごうぐう)など、多くの観光スポットが点在しています。観光業の発展に伴い、澎湖は台湾の重要な海洋観光地としての地位を確立すると同時に、島独自の文化や風情を色濃く残しています。

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