連江県

連江県は台湾海峡の真北に位置し、閩江口、敖江口、羅源湾に面しており、海運の要衝となっています。この県は馬祖列島から構成され、通称「馬祖(Mā-cū)」と呼ばれています。全域には南竿、北竿、東莒、西莒、東引、西引を含む36の島や岩礁があり、4つの郷に分けられているため、「四郷五島」という別名もあります。

第二次国共内戦の歴史的背景により、元々の連江県は分割され、中華民国政府は馬祖列島に連江県政府を再設置しました。一方、中国大陸側では福州市の管轄下に元の連江県が置かれ、現在の「二つの連江県」という特異な状況が生じています。一般的に口語では、「大陸の連江県」と「馬祖」と区別されます。

地理と自然環境

馬祖列島は福建省の閩江口沖にあり、南北に54kmにわたって広がっています。総面積は28.8平方キロメートルで、東引島、西引島、亮島、高登島、大坵、小坵、北竿、南竿、西莒、東莒などの大小の島々と岩礁で構成されています。最大の島は南竿島(面積10.4平方キロメートル)で、県内の最高地点は北竿の壁山です。

特異な地理的位置を持つ馬祖は、福建省の閩江口の出入り口を管理し、戦略的に非常に重要です。福州から西に16海里、台湾の基隆から東に114海里(東引から基隆までは90海里)、金門から南に152海里の距離にあり、金門と向かい合って台湾海峡を守る要衝となっています。

気候の特徴

馬祖は亜熱帯モンスーン気候に属し、四季がはっきりしています。冬は寒く、夏は暑く、降水量は春と夏に集中します。最も寒い1月の平均気温は9.2°Cで、冬は北東モンスーンの影響を受け、気温が低く強風が吹きます。最も暑い8月の平均気温は28.2°Cで、湿度が高いのが特徴です。年間平均降水量は1,082.4mmで、6月が最も降水量が多く(170.4mm)、12月が最も少ない(20.8mm)です。

経済と発展

かつて馬祖は長期間にわたり軍事前線であったため、経済発展が制限されていました。しかし近年、観光産業の推進が進められ、地元の閩東文化、戦争の歴史、そして自然景観を組み合わせた観光地として注目されています。馬祖の伝統的な集落である「芹壁村」には、閩東式の石造りの家屋が完全に保存されており、「海のミニ地中海」と称されています。また、馬祖では春から夏にかけて「青い涙(ブルー・ティアーズ)」と呼ばれる幻想的な夜光虫の現象が見られ、多くの観光客を魅了しています。

また、馬祖の高粱酒産業は成熟しており、その独特の風味と醸造技術で知られ、馬祖を代表する特産品の一つとなっています。さらに、海鮮資源も豊富で、特にムール貝(淡菜)、黄魚、馬祖継光餅が名物として知られています。

連江県(馬祖)は、戦地文化、閩東の伝統、島の風情を融合させた地域であり、独自の戦略的重要性と歴史的背景を持っています。近年は観光業の発展にも力を入れ、自然と文化の魅力を兼ね備えた離島観光地となりました。芹壁村の閩東風景、北海坑道の軍事史、そして青い涙の幻想的な光景まで、馬祖は台湾本島とは異なる独特の魅力を持つ場所です。

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