富山県は日本中部の北陸地方に位置し、県庁所在地は富山市です。北は日本海に面し、「世界で最も美しい湾の一つ」と称される富山湾を有し、三方は飛騨山脈(北アルプス)、白山地、宝達丘陵といった山々に囲まれています。古代の富山は越中国に属し、戦国時代には加賀と越中の争奪地となりました。江戸時代には加賀藩およびその支藩である富山藩の支配下に置かれました。明治期には一度石川県に編入されましたが、地方行政の不均衡から再び分県され、現在の富山県が成立しました。
地理的には、県中央には広大な富山平野が広がり、数多くの河川による沖積作用で形成されました。山麓部には典型的な複合扇状地が見られます。県南部は立山連峰や剱岳を中心とする高山地帯で、冬の豪雪量は世界有数であり、日本で唯一現存する氷河が確認されています。この地域には深い山岳信仰が育まれており、立山は霊峰とされ、黒部峡谷や称名滝などの自然景観とともに「立山黒部アルペンルート」として世界的に知られる観光ルートとなっています。
富山湾は豊かな海洋資源で知られ、春には数万匹のホタルイカが群遊し、魚津や滑川の海岸は世界的にも稀な自然現象を見せます。また魚津には、古代の森林が地中に埋没して形成された「魚津埋没林」が残され、特別天然記念物に指定されています。黒部峡谷はその険しく壮大な景観で有名で、観光トロッコ列車に乗って四季折々の自然を楽しむことができます。高岡市の瑞龍寺は国宝建築で、荘厳な禅宗伽藍として知られています。
文化面では、富山県の五箇山合掌造り集落(相倉・菅沼)が世界文化遺産に登録され、岐阜県の白川郷と並び、雪深い山間で自然と共生してきた知恵と伝統を伝えています。高岡市の山町筋や金屋町は江戸・明治期の商人町の姿を今に残し、石畳の街路や格子窓の町家が歴史的風情を漂わせています。
気候は日本海側気候に属し、県全域が豪雪地帯です。冬は積雪が豊富で、冬季スポーツや雪景観の観光資源となっています。夏にはフェーン現象により蒸し暑い気候になることもあります。近年は暖冬傾向が見られるものの、立山連峰には厚い雪が残り、春の「雪の大谷ウォーク」(高さ20mにも達する雪の壁)は富山を代表する観光イベントの一つです。
富山の食文化も自然環境と深く結びついています。「きときと」という方言は「新鮮で生き生きしている」という意味で、富山湾の海の幸を最もよく表しています。寒ブリ、白エビ、ホタルイカなどの海産物が豊富で、さらに名水の多い土地柄から清酒の銘醸地としても知られています。
現代の富山県は北陸工業地帯の重要な一角であると同時に、山岳と海洋の二つの魅力、独特の歴史文化遺産、そして四季折々の自然景観により、世界各地から観光客を惹きつけています。