大同郷

大同郷(タートンシャン)は台湾宜蘭県の南西端に位置する山間の郷で、先住民族文化と壮大な山林景観が色濃く残る地域です。タイヤル語では「Minnao」または「Mnibu」と呼ばれ、歴史的には「眠脳」、「濁水郷」、「太平郷」といった名称でも知られていました。郷の面積は約657平方キロメートルで、宜蘭県内では2番目に広く、人口は約6,000人と、県内で最も人口が少ない郷鎮です。

大同郷の主な住民は原住民族のタイヤル族であり、地域内では今も広くタイヤル語が使われており、豊かな伝統文化と言語が継承されています。行政区画としては、大同郷は崙埤(ルンピー)、松羅(ソンルオ)、英士(インシー)、復興(フーシン)、太平(タイピン)、茂安(マオアン)、四季(スージー)、南山(ナンシャン)、寒渓(ハンシー)など10の村に分かれています。多くの村は蘭陽渓(ランヤンシー)沿いに位置していますが、寒渓村のみはこの流域の外にあります。

自然資源と観光資産においても、大同郷は手つかずの山林景観を多く有し、宜蘭県の有名なエコツーリズムスポットの一つとされています。主な観光地は以下の通りです:

  • 太平山森林遊楽区(たいへいざんしんりんゆうらくく):古い林場の歴史と豊かな森林があり、森林鉄道や霧に包まれる山々の風景とともに、避暑地として人気があります。

  • 鳩之沢温泉(きゅうのさわおんせん):太平山のふもとにあり、地熱エネルギーを活用したリラックススポットで、温泉好きにはたまらない場所です。

  • 清水地熱(しみずちねつ):蒸気を噴き上げる地熱泉や屋外で卵を茹でることができる池があり、家族やアウトドア体験に適しています。

  • 明池森林遊楽区(めいちしんりんゆうらくく):高山湖と深い森林が広がり、「北台湾の小さなスイス」とも称されています。

  • 思源埡口(しげんあこう):台中の梨山へ向かう重要な峠で、標高が高く、広大な眺望と雲海・日の出鑑賞に最適なスポットです。

  • 英仕山荘と棲蘭山区:この地域には豊かな自然生態系と登山ルートがあり、ハイキングや冒険が好きな旅行者におすすめです。

  • 翠峰湖と松蘿湖:それぞれ高山の湖を周回するトレイルと秘境的な森林湖で、上級者向けのハイキングや写真撮影にぴったりです。

  • 南湖北山と寒渓吊橋:南湖北山は登山者に人気の百岳の一つであり、寒渓吊橋は壮大な景色とダイナミックな橋の構造で知られ、地元のランドマークともなっています。

総じて、大同郷は先住民文化、自然景観、温泉資源を融合した場所であり、静かな山の暮らしを求める人にとって理想的な目的地であると同時に、エコや文化の深い体験を求める多くの旅行者にも人気のスポットです。

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