宜蘭県は中華民国の一つの県で、台湾の北東部に位置しています。北西は新北市と接し、西側は桃園市や新竹県、南西は台中市に隣接しています。南側は花蓮県、東側は太平洋に面しています。県庁所在地は宜蘭市で、全県には1市、3鎮、8郷(うち2つは山地郷)の計12の郷鎮市があります。宜蘭県は伝統的な戯曲「歌仔戯」の発祥地であり、重要な文化的地位を持っています。
地理
宜蘭の平野は主に蘭陽平野で、三方を山に囲まれ、東側は太平洋(フィリピン海)に面しています。この平野は蘭陽渓の沖積作用によって形成され、土壌が非常に肥沃であるため、東台湾の一部と見なされています。日本統治時代に宜蘭線鉄道が完成し交通が便利になり、当時は台北州に編入されました。2006年に国道5号が開通したことで、宜蘭と台北間の交通時間が1時間以内に大幅短縮されました。
宜蘭県南部の南澳郷は山が多く、花蓮県と接しています。全域を縦貫する蘇花公路が主要な交通幹線です。西側は雪山山脈が境界を成し、雪山や大霸尖山などの山系があり、西部の桃園市復興区、新竹県尖石郷、台中市和平区と接しています(梨山や武陵農場などの交通要所はここから出入りします)。
東側は太平洋に面し、得子口渓の河口から蘭陽渓の河口にかけて砂丘が連なっています。これらは蛇の形に似ており、さらに沖合の龜山島が亀の形に似ていることから、「亀蛇が海の入口を守る」と言われています。民間伝説によれば、これは蘭陽平野を守る風水の地形であり、この地を物産豊かな土地にしています。
宜蘭県の商業中心地は羅東鎮で、最も人口密度が高い地域です。宜蘭市は県内で最も人口が多く、宜蘭県政府が所在する行政の中心地でもあります。この2つの都市は、蘭陽渓の北岸(宜蘭市)と南岸(羅東鎮)に位置し、それぞれ地域の中核となっています。
気候
宜蘭は昔から雨が多いことで知られており、台湾の諺に「竹風蘭雨」という表現があります。これは、新竹の風が強い特徴と、宜蘭の雨が多い特徴を表しています。蘭陽平野は三方を山に囲まれ、東が海に面するおたまじゃくし型の地形で、特に地形性降雨が発生しやすいです。冬季の北東季節風が盛んな時期には、海からの気流が吹き込み、冬の雨が数ヶ月にわたって続くことが多く、宜蘭特有の気候現象となっています。春の梅雨時も細かい雨が数ヶ月続くため、「竹風蘭雨」の印象をさらに深めています。
台湾北部と東部の秋冬の気候の特徴はまさに「竹風蘭雨」です。風の影響は苗栗県から新北市まで、雨の影響は新北市から宜蘭県まで広がり、その境界は三芝や石門付近に位置しています。
浸水しやすい地域
宜蘭県内で浸水しやすい地域には、武淵、珍珠、三堵、補城地、五十二甲湿地、五結、壮囲、時潮地域、また宜蘭市、羅東鎮、礁渓郷の市街地が含まれます。これらの地域は地形が低いか排水条件が制限されているため、大雨の際には特に浸水が発生しやすいです。