
壯圍沙丘生態園区(チュアンウェイさきゅうせいたいえんく)は、宜蘭県壯圍郷に位置し、省道台2線濱海公路の149.3キロ地点にあります。面積は約4.48ヘクタールで、自然の地形と建築美学が融合した生態文化スポットです。2018年に正式にオープンし、著名な建築家・黄聲遠(ホアン・ションユエン)氏が設計を手がけました。全体のコンセプトは「谷を空け、砂丘を見せる」で、宜蘭本来の砂丘地形を再現し、建築と自然環境の調和共生を目指しています。
かつて壯圍の砂丘は、蘭陽平原と太平洋を隔てる重要な自然の防壁でしたが、開発や風食などにより徐々に失われてきました。園区の整備により、人々は再びこの自然の記憶を宿す地形を認識できるようになりました。園内を歩くと、一方には広がるタコノキや空を映す池があり、もう一方には静かな田園風景が広がります。天光や雲影、起伏する砂丘が織りなす景観は、人工的な装飾を施さずとも自然そのものが風景となります。
建築様式は地形との共生を重視し、控えめながらも地域性に富んでいます。園内にはビジターセンターや「囲笑聚落館(ウェイシャオじゅうらくかん)」などの施設があり、訪問者を地形の核心へ導くとともに、展示、休憩、地域交流の場としても機能しています。空間設計では、開放空間や自然換気を多く取り入れ、砂、風音、水景、光と影の交錯を組み合わせ、居住・鑑賞・静かな思索のための場を創出しています。
また、周辺には宜蘭濱海自転車道、後埤(ホウピー)や廍後(ブーホウ)といった地域特色のある集落、さらに近隣の蘭陽渓口バードサンクチュアリなど、観光資源が豊富です。朝焼けの中で海沿いをサイクリングしたり、夕暮れ時に砂丘を散策したり、または夕方に波の音を聴きながら静かに景色を眺めたりと、この地ならではのリズムと美しさを存分に味わうことができます。