礁溪郷(しょうけいきょう)は台湾宜蘭県の北部に位置し、交通の要衝であり、県内でも有名な温泉地です。北東は頭城鎮、南東は壮囲郷、南は宜蘭市と員山郷、西から北は新北市の烏来区や坪林区と接しています。
地形は西が高く東が低い特徴を持っています。西北部は雪山山脈の北端に属し、大礁溪山・小礁溪山・烘爐地山など標高1,000メートルを超える山々があり、登山やハイキングに適しています。東南部は蘭陽平原の一部で、二龍河・宜蘭河・頭城河による沖積地帯が広がり、肥沃な土地で農業が盛んです。北東部には海抜以下の低地もあり、独特な湿地地形が形成されています。
交通面では、礁溪は北台湾から宜蘭へ入る重要な玄関口です。台鉄宜蘭線、国道5号、台9線が通過しており、とくに国道5号の開通によって台北から礁溪までの所要時間が大幅に短縮され、西部からの観光客にとって一層便利になりました。
礁溪で最も知られているのは温泉資源です。礁溪温泉は台湾では珍しい平地温泉で、泉質は炭酸水素ナトリウム泉です。水は透明無色無臭で、pHはおおよそ7、湧出温度は約58℃。入浴すると肌は滑らかでべたつかず、ナトリウム・マグネシウム・カルシウム・カリウム・炭酸イオンなどの鉱物を豊富に含んでいます。そのため入浴に適しているだけでなく、ミネラルウォーターとして飲用加工されることもあり、健康に良いとされています。毎年年末には温泉祭りが開催され、温泉文化が広く紹介されています。町内には大型観光ホテルから旅館、露天温泉プールまで施設が充実しており、多くの観光客が癒しを求めて訪れます。
観光地としては、礁溪には多くの自然景観や登山歩道があります。大忠村の五峰旗滝は得子口渓上流にある三段の滝で、遊歩道や東屋も整備され、近距離で観賞できます。猴洞坑滝は白雲村と頭城鎮二城里の境にあり、「蘭陽十八景」の一つで、雨季には壮大な水量を誇ります。龍潭湖は龍潭村にあり、面積は17ヘクタールに及び、宜蘭五大名湖の中で最大です。美しい景観に囲まれ、その周辺は「龍潭湖風景特定区」に指定され、レジャーやハイキングに適しています。
さらに、玉石村・白雲村の跑馬古道、大忠村の聖母登山歩道、林美村の林美石磐歩道など、多くの有名な登山コースがあり、訪れる人々に豊かな山林体験を提供しています。