熊野速玉大社
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熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ) は、和歌山県新宮市にある 熊野三山 の一つであり、熊野本宮大社熊野那智大社 と並ぶ熊野信仰の中心的な聖地です。主祭神は熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)。伝承によれば、二柱の神は最初、神倉山の巨岩「ゴトビキ岩」に天降り、のちに現在の地に遷座されたといわれます。もとの神降臨の地は神倉神社(かみくらじんじゃ)として残り「元宮」と呼ばれ、現在の社地が「新宮(しんぐう)」と称されるようになり、これが新宮市の地名の由来となりました。

古くから熊野速玉大社は熊野信仰の要であり、平安時代には十二の社殿が整備され、「熊野十二所権現」の体系を形成しました。これは神仏習合の象徴的な信仰形態であり、平安後期から鎌倉時代にかけては、鳥羽上皇後白河法皇など多くの天皇・上皇が熊野詣を重ね、日本随一の霊場として名声を高めました。

明治時代には熊野速玉大社は県社に列せられ、1915年(大正4年)官幣大社に昇格しました。現在の社殿は 1967年(昭和42年) に再建され、古式ゆかしい荘厳な社殿様式を今に伝えています。2004年(平成16年)、熊野速玉大社は熊野古道などとともに「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコ世界遺産に登録されました。

社内には多数の文化財が所蔵されており、とりわけ国宝「古神宝類」は約 1000点 に及びます。これらは神々への奉納品や神事用具で、平安から南北朝時代にかけての衣服、装飾品、漆器、武具などが含まれ、日本工芸の粋を今に伝えています。また、木造神像や貴重な祭祀具も多数保存され、熊野信仰の歴史的・宗教的価値を示しています。

自然の面でも熊野速玉大社は見どころが多く、境内には高さ約 20メートル、樹齢 1000年 を超える「梛(なぎ)の大樹」があり、国の天然記念物に指定されています。伝説によれば、平安時代の武将平重盛(たいらのしげもり)が自ら植えたと伝えられています。梛の木は「平穏」や「縁の堅固さ」を象徴し、その葉や実はお守りとして多くの参拝者に親しまれています。

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