利沢砂丘海岸

利沢砂丘海岸

蘭陽地方には「亀と蛇が海口を守る」という伝説が伝えられています。この伝説に登場する「亀」とは亀山島のことであり、「蛇」は果てしなく続く砂丘を象徴しています。利沢砂丘海岸は、その中でも特に代表的な景観の一つです。

海食の影響により、蘭陽平野の海岸線はやや内側に湾曲した弓形を描いています。蘭陽渓と冬山河は大量の土砂を運びながら海へと流れ込み、その浸食力と豊富な運搬物に加え、毎年やってくる北東季節風が長期間吹き続けることで、海岸線は徐々に東へと押し出され、先端の尖った三角州が形成されました。この三角州では堆積作用が今なお活発に続いており、最終的には利沢海岸に数十メートルの高さを持つ多重の砂丘という特異な地形が生まれました。

連なった砂丘の地形により、川の水は海へと直接流れにくくなり、砂丘の間の低地には長年にわたって水がたまり、湿地環境が育まれました。この砂丘湿地には、ススキ、タコノキ、アカシアなどの植物が分布しており、緑豊かな植生と褐色の砂丘が織りなす、自然と野趣あふれる美しい風景が広がっています。

賑わいを見せる人気のビーチとは対照的に、利沢砂丘海岸には静けさと奥深さが漂います。耳には波のリズムが響き、目の前には果てしなく広がる海景が広がり、遠くには静かに佇む亀山島が見えます。心がほぐれ、身体も安らぐこの場所は、都会の喧騒を離れて自然に触れたい人々にとって、まさに理想的な秘境です。

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