八徳三元宮(はっとくさんげんぐう)は、地域の信仰の中心であると同時に、伝統工芸と文化的深みを体現する重要な拠点でもあります。
三元宮の創建は清朝の乾隆または嘉慶年間とされ、長い歴史を持ちます。桃園地域で最も早く三官大帝を祀った廟の一つであり、創建当初は邱氏・呂氏の二大宗族を信仰の中心として、地域社会における族群融合の歴史を見守ってきました。そのため「八塊厝の大廟」と呼ばれ、今なお住民にとって大切な信仰の場となっています。
主神として祀られているのは、天地・水三界の安寧を象徴する三官大帝であり、その他にも天上聖母(媽祖)、註生娘娘、天官武財神、福徳正神、太歳星君、文昌帝君、玉皇大帝など多くの神々が合祀されており、常に多くの参拝者で賑わっています。
廟の建築自体もまた、台湾伝統工芸の粋を体現する空間となっています。葉金萬の木彫は重厚で力強く、張火廣の人物彩画は生き生きとしており、陳天乞の交趾陶は古典的な風格を漂わせています。屋根の彫刻から門神の彩色に至るまで、細部にまで職人の工夫と美意識が宿っています。
三元宮はまた、地域の重要な祭事の中心地でもあり、年間を通して様々な行事が行われます。例えば、旧暦1月の玉皇大帝万寿法会と轎の下くぐり祈願、3月の媽祖誕辰祭、7月の中元普渡(施餓鬼)、10月の水官大帝誕辰祭などが挙げられます。
中でも特に注目されるのが、旧暦2月2日に行われる「祈龜(キグイ)」行事です。この日には、重さ1000キログラムを超えるもち米で作られた大亀が奉納され、参拝者が祈願とともに**筊(ポエ)**を投げて当たり籤を引いた人がその亀を持ち帰ることができます。これは「平安と福を持ち帰る」ことを意味し、熱気と民俗文化が融合した伝統儀式として、八徳地域の一年の信仰のハイライトとなっています。