天送埤

天送埤

天送埤(ティエンソンピー)は、台湾・宜蘭県三星郷に位置する地名で、天福村と天山村の2つの村落を含んでいます。ここは蘭陽渓が山間部から平野部へと流れ出す起点でもあります。

かつて天送埤には「埤塘(ため池)」があり、現在の蘭陽発電所天埤支所の付近に位置していました。この地名は許天送という人物を記念して名付けられたものです。日本統治時代、日本政府は発電施設の建設のために埤塘の水を安農渓へ引水し、そのため埤塘は現在では存在していません。

天送埤駅は、宜蘭の森林資源開発の歴史を物語る存在であり、鉄道文化と歴史の発展を象徴する場所でもあります。羅東森林鉄道は、羅東の竹林駅と太平山林場を結び、1914年から日本人が太平山に入り、1915年にはヒノキの伐採作業が始まりました。土場から竹林までの距離は36.95キロメートルで、沿線には10の駅が設けられました。

この10駅は、竹林、歪仔歪(ワイザイワイ)、大洲、二萬五(エルワンウー)、三星、天送埤、清水湖、牛鬥、楽水、そして土場です。鉄道の軌間が狭く、車両も小さいため、縦貫線の規格のおよそ半分のサイズであり、俗に「五分仔列車(ごふんざれっしゃ)」と呼ばれていました。その中でも天送埤駅は路線の中ほどにあり、現在最も完全な形で保存されている駅舎です。

羅東森林鉄道は1924年から1979年まで運行されており、当時は木材の輸送だけでなく、旅客輸送も担い、大変にぎわっていました。現在の天送埤駅は、文化と芸術の香り漂う観光スポットとして生まれ変わり、さらに台湾の人気ドラマ『秋のコンチェルト(原題:下一站,幸福)』のロケ地にもなったことで、三星郷を訪れる際には見逃せない人気の映えスポットとなっています。

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