蘭潭(ランタン)は、嘉義市北東郊の山仔頂(シャンズーディン)地区に位置し、自然景観、水資源、歴史文化が融合した有名な観光地です。伝承によれば、蘭潭の歴史は1620年頃に遡り、当時オランダ人が八掌渓の支流である鹿寮渓に堤を築いて貯水し、蘭潭が貯水池としての役割を始めたとされています。日本統治時代には、日本人がさらに堤防を建設し、蘭潭を嘉義の上水道システムに正式に組み込み、市の浄水場の貯水池として利用しました。今日に至るまで、蘭潭は嘉義市民の飲料水や灌漑用水を供給する重要な役割を果たし、市の運営に欠かせない水源地となっています。
蘭潭の水は澄み渡り、周囲は緑豊かな丘陵地に囲まれ、風光明媚です。月明かりが湖面に映る夜には、詩情あふれる美しい光景が広がり、「蘭潭泛月(ランタンの月見)」は「嘉義八景」の一つとして称えられています。湖畔には環湖道路と整備された遊歩道があり、気軽に湖を一周できます。途中の観景楼(展望楼)からは、湖水と遠くの山々が織りなす景色を一望でき、爽快な気分を味わえます。
水資源や景観価値だけでなく、蘭潭周辺の自然生態も非常に豊かです。丘陵地形と密集した森林は動植物にとって理想的な生息環境を提供し、特に鳥類は60種以上が確認されており、嘉義市で人気のバードウォッチングスポットとなっています。朝の鳥のさえずりや、夕暮れの湖畔散策では、自然の美と静けさを存分に感じられます。
湖の南西側の高台には「三信亭(サンシンテイ)」があり、休憩や景観鑑賞の場として利用されています。亭からは市街地を見渡すことができ、嘉義の街並みを一望できます。また、蘭潭はレクリエーション施設が充実しており、休日には多くの市民が散歩やサイクリング、運動を楽しみに訪れ、嘉義市民の生活に欠かせない憩いの場となっています。
近年、民間や地域団体の尽力により、貯水池の東側丘陵地が「蘭潭後山(ランタンこうざん)」として整備され、「筍寮山(スンリャオシャン)」の名でも知られるようになりました。標高が高くなく、市街地から近く、遊歩道も整備されているため、すぐに登山やハイキングの人気スポットとなりました。道中は樹木が生い茂り、眺望も開けており、地元住民だけでなく、遠方からの観光客も多く訪れて自然散策を楽しんでいます。