香川県は四国の北東部に位置し、県庁所在地は高松市です。古代には讃岐国に属し、県名は古くからの「香川郡」に由来します。日本で最も面積の小さい都道府県ですが、平野の割合が高く、生活機能が密集しており、都市の便利さと瀬戸内海の穏やかな景観が自然に融合しています。北は多島海の瀬戸内海に臨み、南は讃岐山脈が屏風のようにそびえ、地勢は全体的に北低南高です。古来より雨が少なく河川も短いため、干ばつに備えて県内各地に一万を超えるため池が築かれました。空海が修築したことで知られる「満濃池」から、現代の香川用水まで、この地と水資源との長い対話の歴史が刻まれています。気候は典型的な瀬戸内海式気候で、晴天が多く降雨は少なく、冬は雪がほとんど降りません。夏は「凪」やフェーン現象の影響で暑くなることもあり、この乾燥と長い日照はかつて「塩田王国」と呼ばれた歴史を育みました。
高松は四国の重要な玄関口であり行政の中心です。市街地は繁栄し、商業も盛んです。快速列車「マリンライナー」に乗れば、瀬戸大橋を渡って本州岡山へ約1時間でアクセスでき、「岡高」圏と呼ばれる密接な生活圏を形成しています。臨海部の坂出には化学コンビナートが広がり、四国電力やJR四国といった主要企業が本社を構えています。丹下健三設計の香川県庁舎は、格子状のデザインとシンプルな造形で、高松の都市景観にモダンな風格を与えています。
香川の代表的な観光は高松市の「栗林公園」から始まります。特別名勝に指定された大名庭園で、背後の山並みを借景とし、池泉回遊式の変化に富んだ景観が魅力です。山麓に佇む金刀比羅宮は「こんぴらさん」の信仰の中心地で、石段を上る参道は社殿や門前町の賑わいと一体となった風景を作り出します。善通寺は弘法大師空海の誕生地であり、四国八十八箇所霊場の要所のひとつです。西部の観音寺市にある琴弾公園では巨大な「寛永通宝」の砂絵が有名で、夕暮れ時に海と砂絵が織りなす景観は絶景です。
瀬戸内の島々もまた香川の大きな魅力です。小豆島は紅葉の名所・寒霞渓をはじめ、オリーブ畑や港町の穏やかな生活が「地中海の香り」を漂わせています。直島・豊島・犬島などは現代アートの聖地として知られ、美術館や屋外インスタレーションが島の風景や住民の暮らしと融合しています。渡船に揺られて島々を巡れば、アートと自然が共鳴するゆったりとした旅を楽しめます。
食文化では香川は「うどん県」と呼ばれるほど讃岐うどんで有名です。コシのある麺と澄んだ出汁が特徴で、「釜玉」「釜揚げ」「ぶっかけ」など様々な食べ方があります。地元の製麺所に入り、セルフ形式で麺や薬味を選ぶのが最も香川らしい楽しみ方です。冬から春にかけては白味噌仕立ての雑煮に餡入り餅を入れる「餡餅雑煮」という独特の風習も残っています。さらに、瀬戸内の新鮮な魚介、柑橘、オリーブ製品、小豆島の醤油などが食卓を彩ります。
香川は小さいながらも、光と塩の瀬戸内の風土、島々の詩情、そして古今が交差する生活文化を凝縮した土地です。名園や神社で静かな時間を過ごし、渡船で島々を巡り、町角で湯気立つ一杯のうどんを味わい、讃岐富士に登って平野と海を見渡す——香川はまさに「小さくても豊饒」な旅の舞台です。