鹿港鎮

鹿港鎮(ろっこうちん)は、旧称「鹿仔港(ルーアーカン)」であり、台湾・彰化県の北西部、鹿港渓の河口北岸に位置する町です。地形は平坦で、標高10メートル以下の地域がほとんどを占めており、地形的には沖積平野・海浜低地・海埔新生地(埋め立て地)の3つに大別されます。人口は約8万4千人で、彰化県内では4番目に多い行政区です。

かつて鹿港は、台湾と中国大陸を結ぶもっとも便利な港のひとつとして知られ、対岸の福建省泉州府晋江県との間で活発な商取引が行われていました。そのため、泉州三邑から多くの知識人や商人が移り住み、漢学や文芸が盛んとなり、文化的に豊かな地域として発展しました。清代には、**台南府城・艋舺(現:台北市万華)**と並び「一府二鹿三艋舺」と称され、台湾を代表する三大港町のひとつでした。

しかし、港の土砂堆積鉄道交通の発展により、鹿港は次第に貿易拠点としての地位を失い、経済も停滞しました。その一方で、この発展の遅れが功を奏し、鹿港天后宮、鹿港龍山寺、文武廟などの歴史的建築や町並みが良好に保存され、今日では文化観光の重要な資源となっています。

鹿港はまた、蝦猴(シャコ)や牡蠣オムレツなどの海産物グルメ、伝統的なお菓子や精巧な伝統工芸品でも知られており、歴史・文化・食文化のすべてにおいて、豊かな地域色を示しています。

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