古くから「長谷観音」の名で親しまれてきた当山は、正式には「海光山慈照院長谷寺」と称します。奈良時代の天平八年(736年)に創建されたと伝えられ、聖武天皇の時代には勅願所として定められた、鎌倉を代表する古寺の一つです。本尊は十一面観世音菩薩像で、木彫仏としては日本最大級の高さ(約9.18メートル)を誇ります。坂東三十三所観音霊場の第四番札所にも数えられ、東国の観音霊場を象徴する存在として、今なおその信仰が受け継がれています。
緑豊かな観音山の中腹に広がる境内は、四季折々の花が絶えることなく咲き誇り、「鎌倉の西方極楽浄土」と称されます。花々の彩りが訪れる人々の心を和ませる場所です。諸堂に加えて鎌倉の海や街並みを一望できる見晴台もあり、さらに散策路を登れば、相模湾を遠望しつつ、梅雨の時期には40種類・約2500株のアジサイが咲き誇る光景を楽しむことができ、鎌倉屈指の景勝地として親しまれています。