鎌倉市は日本の神奈川県南部に位置し、三浦半島の西側にあります。南は相模湾に面し、横浜市、藤沢市、逗子市と隣接しています。地形的には三方を山に囲まれ、一方が海に面しており、古くから鎌倉は防御に優れた要塞都市として知られてきました。
この都市は日本の歴史において重要な位置を占めており、日本初の武家政権である鎌倉幕府が置かれた場所です。源頼朝が1192年にここで政権を樹立し、およそ150年にわたる鎌倉時代が始まりました。その間、鎌倉は日本全国の政治・文化の中心地となりました。幕府時代には鎌倉街道の整備が進められ、交通や軍事の面でも重要な役割を果たし、「鎌倉五山」と呼ばれる禅宗寺院の制度も設けられ、宗教・文化的な地位の高さを示しました。
室町時代中期以降、鎌倉は徐々に衰退し、特に1333年に新田義貞が後醍醐天皇の討幕命令に応じて北条氏の政権を打倒したことで、政治の中心としての地位を失いました。1953年に鈴木尚によって行われた考古学調査では、刀傷のある多数の人骨が市内で発掘され、当時の激しい戦闘を裏付けています。
江戸時代後期になると、地元の寺社は引き続き参拝者を集めていたものの、鎌倉は大きな都市発展を遂げることはありませんでした。明治時代初期においても、長谷地区などの小規模な集落しか存在しませんでした。明治中期以降、鎌倉は徐々に保養地や別荘地として発展し、昭和時代には観光都市としての方向性が確立されました。
1939年に鎌倉は正式に市制施行されました。現在の鎌倉市は、観光地として有名であるだけでなく、首都圏の住宅地としても位置づけられ、湘南地域の一部をなしています。他の大都市ほどの近代化は進んでいませんが、そのおかげで中世の遺跡や文化財が数多く残されており、鎌倉大仏(高徳院)や長谷寺など、歴史ある古都ならではの豊かな人文的魅力を今に伝えています。