北海道は、日本で唯一「道」の名を冠する都道府県レベルの行政区であり、日本最北の北海道地方に位置し、道庁は札幌市に置かれています。行政区画と地理名が同一であるため、本島を指す場合には「北海道本島」と呼ばれることもあります。アイヌ語ではこの土地を「アィヌモシㇼ(ainu mosir、人間の住む大地)」あるいは「ヤウンモシㇼ(ya un mosir、陸地の国土)」と呼び、神々の世界を意味する「カムイモシㇼ」と対比していました。これらの呼称はアイヌ民族の自然共生の世界観を反映するもので、今日の行政や地理の概念とは必ずしも一致しません。大和政権は古代に「渡嶋」と称し、近世までは長らく「蝦夷」「蝦夷地」と呼ばれていました。明治維新後、北方の情勢と開拓の必要性から、1869年に松浦武四郎が政府に複数の名称案を提出し、その中から「北海道」が採用・公布され、定着しました。戦後の地方制度改革で、北海道は都・府・県と並ぶ普通地方公共団体となり、固有の「道」呼称は「本道」「道外」「道産米」など独自の用語を生み出しています。
観光やブランドイメージにおいて、北海道は長年にわたり日本全国の魅力度ランキングで首位に立ち、観光意欲や食品連想度の指標でも上位に位置しています。北海道本島の面積は約77,984平方キロメートルで、本州に次ぎ、九州と四国を合わせたよりも広く、太平洋・日本海・オホーツク海に囲まれています。蝦夷山系が南北に走り、日高山脈から石狩・北見・夕張・天塩などの山地が分岐し、富良野・上川・名寄などの盆地を形成しています。石狩低地帯は札幌・千歳・苫小牧を結ぶ人口集中のコリドーであり、道東には十勝平野や根釧台地が広がります。石狩川・天塩川・十勝川などの大河、屈斜路湖・摩周湖・支笏湖・洞爺湖・阿寒湖などの湖沼が多く、多様な生態系を育んでいます。
気候は道南沿岸の一部を除き、ほぼ全域が亜寒帯湿潤気候に属します。冬は日本海側と内陸部で根雪が続き、多雪地帯に指定される地域もあります。道北・道東の内陸は厳寒で、太平洋側は親潮の影響で夏涼しく冬は積雪が少なめです。沿岸は対馬暖流・津軽暖流・宗谷暖流・親潮・東樺太海流の交錯で気候と漁業資源に地域差が現れます。津軽海峡を隔てて本州と接し、青函トンネルと新幹線で結ばれ、北は宗谷海峡を隔てて樺太に、東は千島列島へと続きます。
観光資源として、北海道は広大な原野と四季折々の体験で知られます。夏は花畑、秋は紅葉、冬はパウダースノー、春は融雪の渓谷が楽しめます。世界遺産としては、知床が陸と海の生態系で知られ、ヒグマ・カモメ・回遊魚が織りなす生命循環が見られます。また「北海道・北東北の縄文遺跡群」は数千年にわたる集落遺構を示す史前文化の連続性を物語ります。阿寒湖のマリモ(特別天然記念物)、大雪山国立公園の氷河地形、洞爺湖有珠山ジオパークや昭和新山の火山景観なども注目されています。函館の元町・末広町の洋風街並み、五稜郭の星形要塞、神威岬や襟裳岬、積丹ブルーの海岸線なども代表的な景勝地です。冬のオホーツク海沿岸には流氷が押し寄せ、夏には知床五湖や釧路湿原の自然が魅力です。食文化では、乳製品・ジャガイモ・トウモロコシ・小麦・玉ねぎ、海産物が豊富で、札幌スープカレー、ジンギスカン、函館塩ラーメン、旭川醤油ラーメン、帯広豚丼、小樽寿司、釧路勝手丼などが名物です。
言語習慣として、「北海道」は固有の地名として確立しており、英語でも “Hokkaido” または “Hokkaido Prefecture” と表記されます。「道内」「道外」「本道」といった表現は日常的に使われ、企業名や学校名には「北海」「道産」などの語もよく見られます。1886年から1947年までは「北海道庁」として中央政府直轄の地方官庁が置かれ、地方自治法施行以降は普通地方公共団体として存続し、独自の行政的地位と文化・自然の豊かさを持つ北の大地となっています。