新潟県は日本本州中部に位置し、広大な日本海に面しています。中部地方で最大の面積を有する県であり、日本全国でも第5位の広さを誇ります。古代には越後国と佐渡国に属し、総称して「越佐」と呼ばれていました。明治維新後の行政区画再編を経て、1886年に現在の県域が確立されました。新潟県は東西に細長く、全長634kmに及ぶ海岸線を有し、佐渡島や粟島といった離島も含みます。
県内の地形は多様で、北東から南西にかけて朝日山地・越後山脈・頸城山塊が広がり、周囲の県境を形成しています。越後山脈から流れ出る信濃川と阿賀野川が県を貫流し、広大な越後平野を潤しています。信濃川は日本最長の河川であり、越後平野は日本第2の沖積平野、かつ日本海側最大の平野として、新潟が日本有数の米どころとなる基盤を築きました。特に魚沼産コシヒカリは日本最高級ブランド米として知られ、また県内の多くの酒蔵と相まって、新潟は日本酒の代表的産地となっています。
気候は典型的な日本海側気候で、四季の変化が顕著です。冬は降雪量が豊富で、特に魚沼・十日町・津南などの内陸山間部では積雪が2~4メートルを超えることもあり、観測記録では8メートルに達した例もあります。世界でも有数の豪雪地帯であり、スキー場や「雪国文化」を育んできました。一方、新潟市や柏崎市などの沿岸部は比較的積雪が少なく、冬の生活環境が良好です。夏はフェーン現象により高温となることがあり、過去には日本の最高気温記録を更新したこともあります。佐渡島は海洋性気候の影響で冬でも比較的温暖で、年間を通して寒暖差が小さいのが特徴です。
観光面では、山と海の魅力、そして文化資源が調和しています。清津峡は日本三大峡谷のひとつで、四季折々の景観が壮麗です。笹川流れは澄んだ海と奇岩で知られ、夏には遊覧船や海水浴で賑わいます。妙高や上越高原は世界的にも知られるスキーリゾート地で、良質なパウダースノーが魅力です。
佐渡島は新潟を代表する観光地で、かつて金銀山で栄えた歴史を持ちます。現在も相川鉱山跡や江戸時代の鉱山町文化が残され、重要文化的景観に指定されています。小木や海府海岸の景観、宿根木集落の江戸時代の町並みは訪れる人々に往時の雰囲気を伝えます。また、朱鷺の生息地としても知られています。
新潟市は県庁所在地であり、日本海側の重要な玄関口都市です。象徴的な萬代橋や白山神社、新潟市水族館、佐潟湿地などの観光地があります。長岡市は日本三大花火大会の一つ「長岡花火大会」で有名で、毎年夏には数十万人の観客を集めます。燕三条地域は金属加工の町として知られ、工房体験も人気です。柏崎市の海岸美や村上市の城下町の雰囲気も地域ごとの特色を示しています。
新潟の文化的魅力は自然景観や伝統工芸だけでなく、食文化にも表れています。良質な米と日本酒に加え、日本海で獲れる新鮮な魚介類が食卓を彩ります。冬はスキーと温泉、夏は海水浴と島観光、春秋は花火や紅葉と、四季を通じて楽しめる要素が満載です。新潟県は豊かな自然・深い歴史・多彩な食文化を兼ね備えた、魅力あふれる地域です。