茨城県は日本の関東地方北東部に位置し、北関東地域の一部に属します。県庁所在地は水戸市です。地理的には、東は太平洋に面し、北は福島県、西は栃木県と埼玉県、南は千葉県に接しており、首都圏を構成する重要な一環となっています。人口は約279万人(2025年8月時点)で全国第11位、面積は約6,094平方キロメートルで全国第24位です。県内には44の市町村があり、そのうち32市、10町、2村が含まれます。県内各地域間の結びつきは比較的弱く、地方色が強く、強力な求心力を持つ都市は形成されていません。
地形は多様で、北部は八溝山地、久慈山地、多賀山地などの山岳地帯となり、深い谷や森林が広がっています。那珂川や久慈川などの主要河川はこれらの山地に源を発し、太平洋へ流れ下り、沿岸地域を潤しています。八溝山は県内最高峰で、標高1,022メートルに達し、福島県・栃木県との境界に位置しています。中部から南部にかけては広大な関東平野が広がり、農業と都市開発が並存しています。県内の霞ヶ浦は日本第2の湖であり、水資源として重要であるとともに、観光やレジャーの拠点となっています。利根川とその支流は主要な水系を構成し、肥沃な農地と豊かな生態環境を育んでいます。
気候は太平洋型気候に属し、冬は乾燥して寒冷、夏は高温多湿で、降雨は梅雨や台風の時期に集中します。地域によって気候の特徴は異なり、例えば北部沿岸の日立市や北茨城市は海洋性気候の影響を受け、冬は比較的温暖で夏も気温が高くなりにくいです。一方、内陸山間部の大子町は冬に氷点下10度前後の厳しい寒さとなり、大雪も見られますが、夏は猛暑になることもあり、日較差が大きいです。南部の古河市は埼玉・群馬平野に近く、夏は特に暑く、県内で最も酷暑が発生しやすい地域です。水戸市やつくば市周辺は四季の寒暖差が大きく、冬は氷点下5度以下になることもありますが、乾燥しているため降雪は少なく、夏も東北季節風の影響で熱帯夜は比較的少ないです。
行政面では地域ごとの特徴が顕著です。北部の日立市は工業都市であり、日立製作所発祥の地として製造業中心に発展しました。中部の水戸市は県庁所在地で行政・文化の中心地です。隣接する小美玉市には茨城空港があり、県の空の玄関口となっています。東部の鹿嶋市や神栖市は鹿島臨海工業地帯が広がり、重工業の中心を担います。西部は農業地域で、栃木県とのつながりが深く、結城市は伝統工芸「結城紬」で全国的に知られています。南部のつくば市は科学研究都市であり、大学や研究機関が集積しています。つくばエクスプレスによって東京都心と直結し、新興住宅地も形成されています。
「茨城」の名称は古代の茨城郡に由来し、その淵源は奈良時代の『常陸国風土記』に遡ります。伝承によれば、朝廷派遣の将軍・黒坂命が茨の棘を用いて賊を平定したことや、民を守るために茨で城を築いたことが地名の由来とされています。『和名類聚抄』には茨城郷の記録があり、現在の石岡市周辺にあったと考えられます。出土遺物には「茨木」の表記も見られ、かつては「茨木」とも書かれていました。
明治維新後の行政整理により、水戸、松岡、宍戸、笠間、下館、下妻などが統合され茨城県が成立しました。県名は有力な水戸藩に由来せず、茨城郡の名が採用されました。「茨」の字はかつて常用漢字に含まれていませんでしたが、2010年に常用漢字表へ加えられました。
観光面では、過去にイメージ調査で最下位となったこともありましたが、県は積極的にPRを行い、観光資源の再発掘を進めています。東京にはアンテナショップを設け、マスコットキャラクター「茨日和」を活用するなどイメージ向上に努めています。
名所としては、水戸市の偕楽園が梅の名所として全国的に有名で、金沢の兼六園、岡山の後楽園と並び「日本三名園」に数えられます。大子町の袋田の滝は四季折々の景観を見せる名瀑です。常陸太田市の西山荘は水戸黄門こと徳川光圀の隠居地として知られています。桜川市の真壁地区は江戸時代の町並みを残し、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。北茨城市の五浦海岸は岡倉天心ゆかりの地としても有名で、六角堂跡とともに芸術と自然の調和を楽しめる場所です。