埼玉県は日本の関東地方に位置し、県庁所在地はさいたま市です。首都圏の一部として人口は約734万人に達し、都道府県別では東京都・神奈川県・大阪府・愛知県に次ぐ全国第5位、人口密度は東京・大阪・神奈川に次ぐ第4位です。財政力指数も全国上位(令和2年度第6位)で、面積は第39位ながら可住地割合は全国2位と高く、広い平地が居住・開発に適していることを示しています。県域は古代の令制国「武蔵国」中北部にほぼ相当し、現在は関東地方で神奈川を除く一都四県すべてと接するほか、中部地方の長野・山梨とも境を接します。日本に8つしかない内陸県の一つで港湾や臨海工業地帯はありませんが、内陸県としては全国最大の人口を有します。東南部は東京23区に隣接し、放射状に延びる鉄道網に沿って首都通勤圏の衛星都市・ベッドタウンが広がります。2020年の統計による「昼夜間人口比」は87.6%にとどまり、東京への通勤・通学人口が非常に多いことを示しています。
県名は律令制下の「埼玉郡」に由来し、古くは「前玉」とも書かれました。飛鳥時代の史料に名が見え、行田市の前玉古墳公園は県名発祥の地とされます。明治維新後の行政再編を経て、浦和・大宮・与野などの沿革と合併により、2001年に現在のさいたま市が発足しました。人口約135万人の政令指定都市で、内陸県では最大の人口を持つ都市です。埼玉は陸上交通の要衝でもあり、東京から北海道・東北・北関東・信越・北陸へ向かう幹線鉄道が交差します。中でもさいたま市大宮区の大宮駅は新幹線と在来線が集結する代表的なハブで、鉄道博物館も併設され、全国有数の「鉄道の玄関口」を形成しています。一方で県内の東西方向の鉄道は相対的に乏しく、JR武蔵野線への依存が大きいという課題があります。高速道路網(首都高・外環・関越・東北・常磐・圏央道など)は充実する一方、一般道路は都市圏で渋滞や整備の遅れが課題となっています。
地形は東西約103km・南北約52kmで、その大半が関東平野の一部です。河川面積比は約3.9%と全国最多で、北部には広大な農地が広がります。西部の秩父地域は山地・丘陵で、八王子構造線が県土を東の平野と西の山地に大別します。東側平野は利根川・荒川・入間川などにより、北武蔵台地・武蔵野台地・大宮台地が形成され、比企丘陵などの地形も点在します。江戸時代、徳川家康主導の「利根川東遷」などの治水・改流事業が今日の河川配置の基礎となりました。西側は関東山地で、中央に秩父盆地、外秩父山地が波状に連なります。長野県境の甲武信岳は千曲川・荒川・笛吹川の分水嶺で、県内最高峰の三宝山(標高2,483m)はその北側に位置します。県境は利根川・江戸川および分水嶺で画され、千葉・茨城・栃木・群馬・東京・山梨・長野と接します。1970年代以降、南部~中央部で都市化が急速に進み、広大な通勤型市街地が形成されましたが、道路混雑やインフラの遅れといった課題も残っています。行政的には全国最多の40市を擁し、さいたま市以外にも川口(約50万人)・川越・所沢・越谷などの「30万人級」が南部に集中、10~20万人規模の都市も多く、多核的な都市ネットワークを構成しています。近年は都営大江戸線の東所沢延伸、埼玉高速鉄道の岩槻延伸などの構想もあり、地域交通の強化が続いています。
気候は典型的な太平洋側で、内陸性が強く、冬は東京・横浜より寒い傾向があります。秩父盆地では結氷日が多く、厳冬期には-10℃前後まで下がることもあります。夏は全域で猛暑日が多く、熊谷・越谷・鳩山町などはしばしば国内最高クラスの高温を記録し、40℃を超える極端高温に達することもあります。降水は比較的少なく、特に冬は少雨です。地域差も顕著で、秩父山地は日較差が大きく冬は雪が多め、県北の上武地域は夏暑く冬は極端な寒さはやや緩やか、南部やさいたま市周辺は夏の蒸し暑さと冬朝の放射冷却の影響が強く、西部丘陵の鳩山は盆地効果で冬夜は厳しい冷え込みとなる一方、夏は全国有数の高温地点になることがあります。こうした条件は、北部の近郊農業を支え、ネギ・ホウレンソウ・サトイモ・コマツナ・カブなど多くの品目で全国上位の産地を形成しています。
観光・文化資産としては、長瀞渓谷が清流と岩畳で名高く、草加松原は「『奥の細道』の風景地」の一部として国指定名勝、神流町~群馬県藤岡市にまたがる三波石峡も同じく国指定名勝です。川越の蔵造りの町並みは重要伝統的建造物群保存地区に選定され、江戸~明治の商都の風情を伝えます。熊谷市の歓喜院聖天堂(本殿)は国宝建築で、田島ヶ原サクラソウ自生地・牛島の藤・御岳の鏡岩は特別天然記念物に指定されています。