台中市(たいちゅうし)、略して台中(俗字では「台中」とも書かれる)は、中華民国の直轄市の一つであり、台湾中部唯一の直轄市です。市域面積は約2,215平方キロメートル、人口は約285万人で、台湾第2の都市であり、台中都市圏の中心都市です。また、彰化県や南投県とともに「中彰投地区」と呼ばれています。台中市は北で苗栗県や新竹県、南で彰化県や南投県、東で花蓮県や宜蘭県、西で台湾海峡と接しており、地理的に重要な拠点となっています。
「台中」という名称の由来
「台中」という名前は日本統治時代に由来し、「台湾の中央」という意味を持ちます。清代以前、台中にはすでに集落が存在していましたが、経済活動は鹿港ほど繁栄していませんでした。1900年、日本統治時代に市街改正が行われ、台中は近代的な都市へと整備されました。市内の緑川や柳川の整備が行われ、柳の木が植えられ環境が美化されました。
自然地理
地形概況
山地(東部)
東部の和平区には雪山山脈の南端があり、最高峰は標高3,886メートルの雪山主峰で、台中市の最高地点です。この地域は険しい山々と多くの河川があり、大甲渓が流れています。この河川は豊富な水資源をもたらしています。平原と丘陵(中央)
中央部には台中盆地が広がっており、ここが人口密集地域となっています。盆地は烏渓と大甲渓の堆積作用によって形成されました。平地の標高は比較的高く、例えば豊原区では標高200メートルに達し、台中気象台は84.04メートルと、台湾で最も標高が高い平地気象台の一つです。海岸(西部)
西部は台湾海峡に面しており、主に清水隆起海岸平原と大甲扇状平原が広がっています。ただし、台中盆地とは大肚台地によって隔てられており、交通が不便だったため、地域の発展は比較的独立していました。
気候特性
台中市は亜熱帯モンスーン気候に属し、東部の高標高地域は温帯および寒帯気候の特徴を持っています。気温は西が高く東が低いという温度差があります。台中は気候が穏やかで四季がはっきりしており、降水量は夏季に集中し、冬季は少雨で台風の影響が比較的小さいです。
四季の気候
春季(3月~5月)
気温15~26°C。晴天が多く、稀に寒冷前線による降雨があります。夏季(6月~9月)
気温26~33°C。午後の雷雨が頻繁に発生し、7~8月には35°Cを超える高温が記録されます。秋季(10月~11月)
気温20~30°C。降水量が最も少なく、乾燥した気候です。冬季(12月~2月)
気温12~21°C。寒冷前線の影響が顕著で、放射冷却によって夜間の気温が10°C近くまで下がることがあります。
台中市は重要な経済・文化の中心地であるだけでなく、台湾で第2の規模を持つ港と、最大の空軍基地である清泉崗基地を擁しています。豊かな自然資源と多様な地形が台中市の独特な魅力を作り出しており、多くの旅行者や住民を引きつけています。